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王子を守れと言われました。でも、可愛すぎませんか?
王子を守れと言われました。でも、可愛すぎませんか?
Auteur: ZERO POINT

第1話 筋トレ部は危険です

Auteur: ZERO POINT
last update Date de publication: 2026-06-07 19:00:30

私はセラフィア女学院に通っている。

私達は健康促進部に入っている。

体調管理やダイエットを目的とした部活だ。

まあ、ほとんどの生徒が入っているし、私もバスケ部と掛け持ちしていた。

ある日、部長達から妙な任務を言い渡された。

男子はどうやって筋トレをしているのか。

どういう女の子が人気なのか。

何を求めているのか。

そういうものを調べてきてほしいらしい。

だから私は、男のふりをして男子校へ潜入することになった。

理由は単純だ。

身長が高いから。

ショートカットだから。

王子っぽいから。

そんな理由である。

ちなみに友達のユリアも選ばれた。

胸がないから。

そして荒っぽいからだと思う。

皆、酷いな。

私は胸がないわけじゃない。

ただ、運動すると邪魔だし恥ずかしいので、できるだけ小さく見せているだけだ。

その成果もあってか、男子校へ潜入しろと言われた。

そんな馬鹿なと思った。

ユリアは気づいていないけど、私は男子校に行ったことがない。

少しだけ緊張していた。

そして先生達に男子校の制服を借りた。

顧問の先生は面白がって貸してくれたらしい。

何を考えているのかわからない。

私は着替えてみた。

「アル、似合う」

「王子様みたい」

「絶対モテる」

「男子校に行くのがもったいない」

皆が好き勝手言っていた。

そんな馬鹿な。

私達は潜入捜査を開始した。

女子校の人気ランキングはわかった。

たぶん、男子達が今まで見た女子の人気ランキングなんだろう。

それだけはわかった。

そして帰ろうとした、その時だった。

「やはり、ここの筋肉をつけるためには、このトレーニングじゃないのか?」

「いや、プロテイン量が足りないだろ」

妙に熱い声が聞こえてきた。

私達がそっと視線を向ける。

そこには――無意味に筋肉をつけまくっている男子達がいた。

筋トレ部だ。

「もっと追い込め」

「いや、休息も重要だ」

「腕だけじゃ駄目だ。全身バランスだ」

「だが筋肉量は正義」

私とユリアは静かに固まった。

「これは……」

「ええ……」

男子達は真剣だった。

しかし、あまりにも鍛えすぎていて何が何だかわからない。

筋肉。

筋肉。

とにかく筋肉。

「何だろう……」

ユリアが遠い目をする。

「ちょっと残念ね」

「うん……」

私も頷いた。

私達とは方向性が違う気がする。

頑張っているのはわかったけど。

その時だった。

一人の男子が真顔で言った。

「やはり筋肉は裏切らない」

「でも、柔らかさは失われるわ」

ユリアがぼそっと呟く。

どうやら男子校と健康促進部では、目指している方向が違うらしい。

その時だった。

筋肉集団の一人がぼそっと言う。

「今年は――あの女子校には負けられない」

一瞬で空気が変わった。

「見せてやる」

「俺達の筋肉理論を!!!」

「やるぞ!!!」

「「「筋肉!!!!!」」」

私達は固まった。

「意味が分からないわ」

「ええ……」

しかも全員本気だった。

「やはり男子校、危険ね」

「思想が濃すぎるわ」

帰ろうとした、その時だった。

いきなり筋トレ部の男子が近づいてきた。

「そこの美少年達、筋トレ部に用か? よかったら筋トレしよう」

(セーフ、男に間違えられた)

(良かった)

私達は同時に思った。

その時、一人の男子が真剣な顔でユリアを見る。

「こんな腕では駄目だ」

「もう少し筋トレをしないと」

「え?」

ユリアが固まる。

「いや、筋肉そこまで要らないから」

しかし男子達は真顔だった。

「顔は綺麗だが筋肉がまだまだだぞ」

「女みたいな顔をしているが、それではモテない」

「そんな馬鹿な」

ユリアが本気で困惑する。

すると一人が静かに頷いた。

「筋肉が足りないからな」

「そこなの!?」

思わずツッコんでしまった。

どうやら男子校には、健康促進部とは別系統の理論が存在しているらしい。

私はおそるおそる言った。

「女子達は、そこまで筋肉を追い求めてないと思うけど」

男子達が静かに止まる。

「やりすぎは……逆にモテないんじゃ」

「引くっていうか」

一瞬で空気が凍った。

「何!?」

「そんなことはない!!!」

筋肉男子達が一斉に立ち上がる。

「筋肉は正義だぞ!」

「筋トレをしなさ過ぎて頭がおかしくなったんじゃないのか!?」

「いや、発想が怖いのよ」

ユリアが真顔で言った。

しかし男子達は止まらない。

「お前ら、今から筋トレを一緒にするぞ!」

「筋肉は裏切らない!」

「まずはベンチだ!」

「スクワットも必要だな!」

私は思わず後ずさった。

どうやら健康促進部とは別方向で危険らしい。

しかも全員本気だった。

「おい、ヴァルド。筋トレのやり方、見せてやれよ」

「え? 俺?」

前へ出てきたのは、なかなかのイケメンだった。

爽やか系。

しかも筋肉理論側にしては妙に整っている。

「……なんで、この人だけ普通にモテそうなのかしら」

ユリアが小さく呟く。

周囲の筋肉男子達とは違う。

妙に爽やかで、空気まで軽かった。

「しかも、ちょっと危険なタイプね」

「ええ……」

私は静かに頷いた。

何だろう。

この人だけは少し違う気がした。

でも、その時の私は知らなかった。

この出会いが、思った以上に長く続くことになるなんて。

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